Second Chance

はじめに。

猫というのは不思議なものでいつも突然現れ強烈なインパクトを残して去って行く。
僕は子供の頃ドイツ人家主の小さな家の2階でペルーからの移民の子としてニューヨークのクイーンズで育った。ある日突然、若い猫がやってきて僕に餌をねだった。僕は綺麗好きなドイツ人家主がそれを許すべくもないと思ったので、こっそりとその若い猫に餌をやることにした。僕の家族も陰ながら見守ってくれていた。それからその猫はしばしばやってくるようになった。驚くほど大胆に家の中に大股で入ってきて、その春彼女は6匹の子猫を産んだ。父は額に手をあてて引っ越しの準備をしなければと言った。すぐにドイツ人家主の奥さんが力強くドアをノックした。
僕は猫を見ながらどうしてこんなにかわいい小さいやつらが僕に面倒を起こすのかと思うと複雑な気持ちになった。予想に反して、家主は咎めることもなく、むしろ子猫の飼い主を探すなど協力的だった。それ以来、僕は猫にはなにかすごい魔法があるに違いないと確信している。それから猫は僕の良い被写体の一つになった。

ある日僕の彼女が今日まさに処分されるという大きな猫を引き取ってきた。彼女の家にはすでに何匹も猫たちがいて新しい猫の居場所はなかった。そんなことは目に見えているのに引き取ってきた彼女にイライラしたが、僕の目の前に猫はいる。そう、いうまでもなく僕が面倒をみることになったのだ。僕はその猫にワンタンという名前をつけた。ワンタンはすばらしい猫だった。しばらくして僕と彼女の関係は破綻したがワンタンは僕のそばで腎臓病で亡くなるまで片時も離れることはなかった。ワンタンが亡くなってからの僕の人生は本当に最悪でもう2度と猫を飼うのも誰かと真剣につきあうのも止めようと思った。しかし人間とはゲンキンなもので僕には今、妻と三匹の猫がいる。

この三匹の猫との出会いも劇的なもので僕の写真家としての人生を大きく変えるに至った。この三匹はシェルターからやってきた所謂「保護猫」なのだが、本当に素晴らしい猫なのだ。
しかし妻がいうには日本では子猫の貰い手はけっこうあるのだが大人になってしまうと極端にチャンスがなくなるとのことだった。僕の人生にやさしさをくれた猫たちはみんな大人の猫たちだ。僕はなぜあのやさしく賢い日本人たちが大人の猫たちの良さをわらないのかほんとうに理解し難かった。それから僕は日本人の皆さんに大人の猫ををアダプトすることの楽しさや素晴らしさを知ってもらうために僕の友人や身近な人たちとアダプトされた猫とのポートレイトを撮影することにした。僕は犬も素晴らしいと思う。彼らはとてもソーシャライズされていてスタジオに連れて行くことができるし、散歩に行って屋外で撮影も楽しい。それに引き換え猫はそれぞれの自宅で撮影しないといけない。しかし、これはとても面白いことで飼い主と猫との関係性がはっきりでるのだ。

大人には大人のよさがある、そしてそれを感じ取れることもまた人生の偉大な学習のように思えてならない。僕はいつもファインダーを通していろいろなものを眺めているのだが、二度目のチャンスをつかんだ猫の素晴らしさは格別なのだ。それを感じ取ってもらえたらと願ってやまない。

NYネコTimes

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